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Case
患者:8歳、男児。
出生・発達歴:特記事項なし
既往歴:なし
現病歴:4日前から発熱・咳嗽を認め、3日前に近医を受診し、インフルエンザ抗原検査は陰性であった。2日前に後頭部痛が出現し、当院救急外来を受診、ウイルス性上気道炎と診断され、帰宅した。しかしその後も頭痛がひどく、全身の筋肉痛も出現したため、前日に再度救急外来を受診し、再度ウイルス性上気道炎と診断されて経過観察となった。
その後、頭痛がさらにひどくなり、体を起こせなくなったため、夕方に再度救急外来を受診した。診察時は、何をしても「痛い痛い」「水を飲みたい」と大声で騒ぎ、右に頭部を傾けたり四肢を動かすと後頭部痛が増悪していた。
神経学的所見:項部硬直あり、それ以外の神経学的所見に異常なし。
発熱5日目としてfever work upが行われた。
血液検査:WBC 10,980/μL(Neut 84%)、CRP 23.5mg/dL
髄液検査:細胞数209/mm3(多核球146/mm3、単核球63/mm3)、蛋白50mg/dL、糖76mg/dL
髄液Gram染色:陰性
救急外来では「痛みに弱いワガママな男の子」と印象づけられていた。ウイルス性髄膜炎疑いで入院した。
入院後の経過:入院1日目には、話しかけると一時的に目を開ける程度にぐったりしており、細菌性髄膜炎疑いとして抗菌薬が開始された。入院2日目には全身状態は改善したが、髄膜刺激徴候残存、左回旋位固定の症状があり、深頸部膿瘍が疑われ、頭頸部造影CT検査を行ったが異常は認めなかった。入院3日目に自分で起き上がれない、テレビのリモコンがどこにあるかわからない、すぐに不機嫌になり怒りっぽい、など言動が年齢より幼稚であることに気づいた。

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